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【大阪大学医学部】英語入試問題徹底解析:青山りえ子先生

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第一回目の過去問徹底解析は、大阪大学医学部入試で扱われている英語の問題です。過去問を分析し、どのような対策が必要か見てみましょう。

 

大阪大学医学部の英語の問題の特徴は、「難易度が高く回答に時間を要するが、問題数は多くない。」と言えます。つまり、各問を丁寧に解きつつ、常に残り時間を把握しておく必要があります。また、【医学部志願者】に特化した問題はなく、おおむね全学部共通の問題が出題されます。ということは、【医学特有の内容】に沿った英文が出題されるわけではないのです。このことから一般的に受験者が心得ておかねばならないのは、「科学的な話題のみでなく、理系以外の幅広いジャンルの内容に慣れておく――少なくとも、生理学や保健に関する話でなくとも、英文を読み始めた時に苦手意識が出ないようにすること」だと言えるでしょう。実際、過去数年分の問題を見ても、文学から心理学、社会学に至るまで、幅広い話題が出題されています。医学部志望だと、どうしても理系の問題にばかり毎日接することになりますが、日頃から分野を問わず、主要なニュースを1020ほど目を通すと良いでしょう。時間をかける必要はありません。通学している電車の中で10~20分ほどで(スマホや携帯で)さっと終わらせてしまいましょう!また、もう少し時間をかけられる人は、BBCThe New York Times及びThe Japan Timesなどの記事を、HPから読んでみても良いでしょう。あくまでも慣れるだけですから、短い記事や、長い記事の冒頭部分をさっと読むだけで良いと思います。(難しい単語が出てきても、あまり気にせずに!大意が分かる程度にさっと読んでください)

 

それでは実際に、各設問を見て行きましょう。大阪大学医学部の英語は、4つの設問から成ります。まず【大問1】は、英文和訳です。例年2題出題され、それぞれ34行程度と比較的短く、単語も難しいものはほぼ出ません。その代わり、分子構文や省略、同格のカンマや挿入句が随所に使われ、文の構造が把握しにくいものや、一文が長かったり、和訳を指定された箇所の前後にも英文があり、全体の文脈の中で、指定された英文の言わんとしていることを適切に訳す力が試されます。その時は、特に文中に「代名詞」が使用されている場合、前後の文も読みながら、代名詞が何を指しているのか、適切にその名詞を言い当てなくてはなりません。

 

        試しに2015年の問題を見てみましょう。英文は以下です。

Humor is the broad term used to describe situations, characters, speech, writing or images that amuse us. At the physical level, it is no more than an involuntary response to a stimulus—laughter. Although we can imitate this in social contexts where we feel an obligation to feel polite, genuine laughter comes upon us spontaneously; it is beyond our control. It may be a motor response, but we seek out experiences that will result in laughter, and if we don’t get the physical reaction, we don’t feel that we have been amused.

 

見てのとおり、指定された箇所の前後に英文がありますね。これはもちろん読まなくてはいけません。それは問題文として書かれているから、ということではなく、和訳する文に使われている代名詞や、指定されている英文の意味を正しく把握する為には、前後の文の内容もまた理解せねばならないからです。

 

まず一文目を訳すには、主語のitが前文のhumorを指すことに気づかなくてはなりません。また、この一文は上記のとおり、決して難しい単語は使用されていません。Stimulus, physical, laughterなどは、受験勉強をしていれば、受験対策用の単語集に必ずと言って良いほど載っているでしょう。Involuntaryも、inが反意語を表す際によく用いられることから、voluntaryの反対の意味だと推測できますし、voluntary(自発的な)は、日本語でもよく使うvolunteerと単語の出だし部分が似ていますから、似た意味を持つものだろう、と推測可能でしょう。恐らく「単語の意味が分からない」という受験生はほとんどいないと思われます。後半ではgenuineやspontaneouslyと若干難しい単語も出てきますが、受験向けの単語集にはほぼ載っているはずですし、英検の準1級から1級、そしてTOEFL iBTで80後半から90点以上を狙って勉強している人には、暗記必須の単語なはずです。ですから、受験生のほとんどは単語の意味が分かってしまうでしょう。その意味で、基礎レベルの単語をしっかりと覚えておくことが肝要です。

 

また、全体でno more thanとbeyond controlという2つのイディオムが使われていますが、前者は高校生の基礎レベルの比較級ができていれば「~に過ぎない」という意味だと知っているでしょうし、後者もbeyond~で「~できない」という(beyond imagination=想像を絶する、想像がつかない、など)基本的な文法知識があればすぐに「controlできない=制御できない」という意味だと推測できます。ですから、文法に関しても、「しっかりと基礎固めが出来ているか」ということを大学側は重視していることが分かります。

 

そして最後に、和訳指定された箇所に加え、後ろに一文追加されていますが、こちらは、和訳する文が、involuntary responseや、genuine laughterがspontaneouslyに生じる、など抽象的で分かりにくい表現を用いていることから、それをより具体的でイメージしやすくするために、意図的に追加された文です。Involuntaryで、spontaneousに生じ、beyond controlな笑いとは、我々が(無理やりに出なく、結果として)自然に笑わせられる経験(experiences that will result in laughter)なのです。このように、阪大の英文和訳は、単語力も文法力も基礎をしっかりと固めておけば概ね対応できるが、設問に書かれている英文全体を読み、和訳指定されている箇所が、全体の話の流れの中でどういう内容に焦点を当て、何を強調しようとしているのか、正確に把握する必要があります。

 

さて、大問の2問目に来る【大問2】は、長文読解です。英語を始めとした語学を専門的に学ぶ外国語学部受験者向けには、別途難易度が上の設問が用意されていることからも推測できるとおり、医学部を含む他学部共通の英語長文は、長さも短く、せいぜい5分から長くても10分以内には読み終わる量です。TOEFL iBTのReading Sectionに出てくる長文1題の半分ちょっとくらいでしょうか?IELTSのReadingでしたら、半分以下くらいになると思います。大きな段落で、4つほどの長さです。

 

長文の難易度も、それほど難しいレベルではありません。大意を把握するのに苦労する受験者はほとんどいないでしょう。細かいところで、例えば2016年の過去問では、temperament(気性)やanecdote(逸話)など、あまり聞かない単語が出てきて、焦るかもしれませんが、別にこれらの単語が分からないからと言って、長文全体の内容についていけなくなる、ということはありません。たとえ難解な単語があっても、その前後にそれを簡潔に言い換えた文がほとんどの場合ありますので、きちんと段落全体の文をしっかりと読めば、何を言っているのか、大体わかります。ですから、長文読解でも、阪大は難問を解ける少数の天才を求めている、というよりは、基礎固めがしっかりとできている人材を求めているような気がします。

 

具体的に設問を見てみましょう。例年6~8題ほど大きな問題があり、その中に単語の意味を問うものや、代名詞が何を指しているのかを問う問題が5題くらいあります。ここで問われている単語は、例えば2015年ではunfold(開く、明らかにする、展開する), predictable(予測できる), impending(差し迫った)等、それほど難しいものは出ていません。また、これらの単語も文脈から十分に推測できる範囲の難易度です。単語の意味が分からないからと言って、即座に不正解につながるような設問の仕方はしていません。ですから、あくまでも基本的な読解力が試されている問題です。イディオムも、come to terms with (~と折り合いをつける(2016出題))等、一見知らなそうなものが出てきますが、その直後にreconcile(折り合いをつける)というほぼ同じ意味を持つ動詞が言い換えとして使われており、reconcileという受験の基本単語を知っていれば、無難に正答できる問題となっています。代名詞も同じく、前後の文がしっかりと読めていれば、全問正解できる内容です。

 

この様に、選択肢型の問題は受験生はおおよそ正答できる内容になっていますが、点差が開くのが、恐らく本文の内容のより詳細な説明を求められる記述式の設問でしょう。長い回答を求めるような、時間をかける問題ではありませんが、80字程度で短く、しかし論理的に分かりやすい文章でまとめる技術が必要です。だらだらと長く書いていると、必ず回答欄が足りなくなります。余計なことは書かず、設問で聞かれている内容に最初からズバリと切り込む内容にしてください余計な修飾語(句)は避けること!そして、主語と述語(とそしてあれば目的語)のはっきりとしない文を書かないまたこういう本文で曖昧に表現されているところをより分かりやすくさせる設問では、「あれ」や「それ」などの代名詞や指示語を用いない。もし「あれは~」とか「これが~」と書いてしまえば、採点官はさらに「その『あれ』は何ですか?」と突っ込めるからです。それだけを読んで理解できる表現しか使わないこと!!一度読んだだけでスッと内容が採点官の頭に入る文章を書くこと!!これが記述式の設問で上手に回答を作るコツです。何度も読み返さないと分からない難解な回答は、逆に嫌われるでしょう。☆「分かりやすさ」が鍵です。

 

では次に【大問3】【英作文】を見てみましょう。こちらは例年70字程度と、比較的短いです。長い文で3文、短い文があれば、大体5~6文くらいで書き終わってしまいます。短いパラグラフを1つ書いているような感じです。ですから当然、段落分けなどしている余裕はありませんので、冒頭からIntroductionやConclusionなどに関係なく、回答の要から書き始めてください。そうでないと、回答欄が足りません。

 

ただ、例年「具体例を1つ挙げよ」という指示が入ります。つまり、3~6文の中のどれかを例を説明するために使わなくてはいけません。そして例を挙げた後は、必ずその例で何を言わんとしているのかさらに書かなくてはいけないのですから、例の後に2~(多くても)3文ほど書き、その中で必ず内容をまとめる練習をしておいた方がよいでしょう。それ以上ぐだぐだと書いていては、70字を大幅に超える可能性が高いです。とにかく「核」となるアイディアから逸れる内容は避けること!これだけ回答が短ければ、メインのアイディア以上のことを書いている余裕はありません。

 

例えば、2016年の問題では、「『知識は力なり』と言われます。知識を持つということは、どんな力を持つことになると思いますか?」と問われています。つまり、最初から問題に対する回答をズバリと書き始めるには、「知識とはどんな力か」――更に言えば、「知識を持つことでどのような事が可能になるか、どんな能力が現れるのか」を第一文目で書かなくてはいけません。そして第2文目でその具体例を挙げる。「例えば知識があると、こんなことが出来るよ」と言うわけです。そして例に続く第3,4文目でその例から実際にどのような能力が発揮されたのかを説明し、最後の5文目でまとめる感じにすれば良いと思います。

 

また取り上げられる内容については、今回のように哲学的なものから、2015年の社会問題に至るまで、毎年異なるジャンルの課題が提出されます。しかしそれに対応するために、やみくもに色々な分野の書物を読んで対策をすることはあまり得策ではないように思えます。というのも、回答は70文字と短いもので、何か具体的な事件やニュースを普段ニュースなどで耳にする以上の情報を加えて説明する必要はないからです。それよりも、阪大を含めた国立大学で課される英作文対策の問題集を、最低でも1冊すべて解き、阪大の過去問に関しては、少なくとも過去5年分、理想では過去10年分解くことで、それぞれの分野でどれくらい内容を掘り下げるように問われているのか傾向をつかみ、過去問に慣れておくことの方が遥かに良い対策になると思います。ただし、添削は私を含め、プロレベルの英語上級者に見てもらう必要があるでしょう。自分で添削できるものではありません。

 

では最後に【大問4】【和文英訳】を見て行きましょう。設問は例年2題あり、難易度は非常に高いです。先にも述べた通り、内容ももちろん医学に関することでは通常ありません。それよりも、哲学的・文学的な内容を自分なりに解釈した上で英文にすることが問われる傾向にあると言えます。ですから、単に与えられた日本文をそのまま英語に直訳しても、まったく歯が立たないということです。試しに2015年の問題を見てみましょう。

 

【設問】

歴史」と言われると、われわれは誰しも、なにか、わかったという気がする。歴史は過去にあった事実だ、と考えるのが普通だ。しかし、そう考えておしまいにしないで、もう一歩踏み込んで、それでは「過去にあった事実」というものの正体は、一体何か、と考えてみる。そうすると、これがなかなか簡単には決まらない。人によって意見や立場が違うので、過去の事実はこうだった、いや、そうではなかったと、言い争いになりやすい。

 

さて、皆さんはどう「そう考えておしまいにする」や、「もう一歩踏み込む」、そして「なかなか決まらない」を英訳するでしょうか?もともと「おしまいにする」とか、「一歩踏み込む」、「なかなか~ない」という表現を知っていればいいですが、ほとんどの受験生には思いつかないと思います。では、どうすればいいか?

 

私がおすすめするのは、まず直訳はできる限り避け、「英訳しにくい」と自分が感じている日本語を、もっと分かりやすい日本語へとまず転換するという作業です。例えば、「もう一歩踏み込む」とは、具体的にどうすること?と自問し、イメージがわくような表現に言い換えます。私だったら、「あともう少し進む」だとか、「問題の中心/核心に迫る」と言い直します。こうすると、「一歩踏み込む」よりも、もっとイメージしやすくなり、高校生レベルでも知っている単語で英訳できるようになると思うのです。「もう少し進む」でしたら、go further(farther)とすぐに出てくるでしょうし、「中心/核心」がheart/coreだとわかるでしょうから、get to the heart/core of~と訳が思いつくでしょう。また、「なかなか簡単に決まらない」は、「決定するのはそれほど単純ではない」と言い換えれば、これも英訳しやすくなります。

 

以上のように、相対的にみて、阪大医学部の英語は、英作文と英訳以外はほぼ基礎をしっかりと固めておけば対応できると思います。問題は、英作文と、特に和文英訳です。とりわけ理系に属する医学部志願者は、阪大のような哲学的・文学的な内容を課す問題は、まず問題文を理解すること自体が難解かと思われます。阪大特有の、このように高度な文系の内容になれるため、まずは阪大の過去問を最低10年分は解きましょう。可能であれば、それ以上の過去問を取り寄せ、すべて解き、とにかく慣れておいてください。

 

阪大を始めとした国立大医学部に関する質問があれば、

歓迎いたします。LNSまでお問い合わせください。

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